2014年9月30日火曜日

エダナナフシ

エダナナフシ Phraortes illepidus (Brunner von Wattenwyl, 1907)
(ナナフシ科)

エダナナフシか?

 植物の観察会の途中で気づいた虫。細い草の茎のような細長い体で、羽もない。まわりの草の色と同じような緑色で、ほとんど動かないか、動いてもとってもゆっくり。まわりの草に化けて身を守る「擬態(ぎたい)」をしているのだろう。たぶん鳥やカマキリなどの捕食者に見つからないようにしているようだ。

 このような体形の昆虫をみつけると簡単に「ナナフシ!」と言ってしまうが、ブログに載せるため写真を良く見てみると、触覚がとても長い、腹部の先(七節目)がちょっと出っ張っている、等の特徴がある。どうやらエダナナフシという種類のようだ。

 草食でとても柔らかい体をしている。敵に襲われたり、なにか物理的な衝撃を受けると脚や触覚が切れてしまうこともあるらしい。そして、切れた脚や触覚はまた再生するようだが、この再生について面白い現象があるらしい(以下のリンク参照)。

Experiment ナナフシ -この愛すべき奇妙な昆虫-(生命史研究館)

 このナナフシの仲間は、メスばかりが多く見られ、オスがほとんど見当たらないということが多いらしい。オスとの交尾を必要とせず、メスだけで卵を産み、増えていくようだ。

 以前、職場の子が捕まえてきたナナフシの仲間は、大事に飼育していたら草の実のような卵をたくさん産んだのでメスだと分かった。その卵からたくさん孵ったが、飼育しきれないのでもとの場所に放してしまった。

2014年9月2日火曜日

ツルコウゾの実

ツルコウゾ Broussonetia kaempferi Siebold
(クワ科 MORACEAE)
ツルコウゾの実
 またもや季節外れで申し訳ないが、6月頃だったか、ツルコウゾがたくさん実をつけているのを見た。赤というか濃いオレンジ色に熟していた。雨上がりで濡れていて少しためらったが、一つ口に入れてみた。甘くておいしいが、舌触りがなんだか「ネトッ」とした感じで、そこがあまり好みではなかった。

 ツルコウゾという名前のとおりつる状の植物で、他の植物に取り付きどんどん上に伸びていく。ツルコウゾの「コウゾ」は、和紙の原料となる「楮」のことで、分類上も楮(コウゾ Broussonetia kazinoki Siebold × B. papyrifera (L.) L'Hér. ex Vent.)と近い仲間である。コウゾに比べると細長い葉をしている。

 雌雄異株なので、写真のものはメスの花をつける雌株と言うことになる。この植物は、実は温かい地方の植物らしく、九州と四国の西部や本州の一部にしかないらしい。熊本では結構簡単に見ることができる。




2014年9月1日月曜日

アカメガシワ

アカメガシワ Mallotus japonicus (L.f.) Müll.Arg.
(トウダイグサ科 EUPHORBIACEAE)

 先日道端のアカメガシワの実が熟して、黒いタネをのぞかせていた。それを見てアカメガシワの雄と雌を紹介しようと写真を準備していたのを思い出した。シーズンのがしちゃったけど、来年確認して下さいね。

雄株の花序。花粉を集めに蜂がよってきている。
 アカメガシワはかなり身近な植物で、図鑑なんかには「山野に普通にある」と書いてあるが、熊本ではそれこそ道端や空き地でも見れる。名前は「赤芽がしわ」で、新芽が赤い事からきている。「ガシワ」は、食べ物を載せる葉っぱをしめす「かしわ」が濁ったのだろう。昔はこの丸く大きな葉に食べ物を載せたりしたのだろうか。

 小学校の教材で出てくるアブラナの花では、一つの花の中に雄しべと雌しべがあり、植物一本一本に性別あるとは習わないようだ。しかし、植物の性は多様で、雄しべと雌しべがそろった花(両性花)をつける種類もあれば、雄しべだけあるいは雌しべだけの花(単性花)をつけるものもある。また、一本の植物にオスの単性花(雄花)とメスの単性花(雌花)の両方をつけるもの(雌雄同株)もあれば、片方しかつけないもの(雌雄異株)もある。
 さて、このアカメガシワは、木一本毎に雄花だけをつけるオスの木と、雌花だけをつけるメスの木がある(つまり雌雄異株)。一枚目の写真は、オスの木の枝先についた雄花の集まり。蜂がよってきている事から虫に花粉を運んでもらう虫媒花のようだが、あんまり派手な装飾はない。次はメスの花。

アカメガシワの雌花序

こちらも派手な装飾はないが、なんだか目立つなぁ。ところどころに見える赤いものが雌しべ。随分まんまるだけど、これはもう実が随分と成熟してきていて、花としては終わりかけだから。

 木の花は、目立たないものもあるけど、よく見てみるといろんな形で面白い。

ハス

ハス Nelumbo nucifera Gaertn. 
(ハス科 NELUMNBONACEAE)

蓮の花
 仕事でよく訪れる場所の近くに「ジュンサイの池」という池がある。水面の半分はヒシ、半分はハスで覆われている。今年はハスが開花し始めた時に訪れることができた。
蓮の花
 かなり大きな花。写真撮ったら結構白く飛んでしまった。スマホの限界か。

 さて、この「ジュンサイの池」、その名の通り、以前はジュンサイが生えていたそうだ。職場には標本も残っている。この池の隣にはゲートボール場や駐車場が隣接しているが、以前はそこも池だったそうだ。半分ほどを埋め立ててしまったらしい。そういった地形の変化や水の利用の変化などで環境が変化して、ジュンサイは生えなくなったのかもしれない。池の底をかき混ぜると埋土種子が発芽するんじゃないか、とも思うが・・・