2016年3月6日日曜日

マダラゴキブリ

マダラゴキブリ Rhabdoblatta guttigera  
(マダラゴキブリ科 EPILAMPRIDAE)

12月の自然観察会に参加した。場所は市街地も近い低山で、テーマは雑木林の観察会。

その最中で、足元をカサコソと動く生き物に気づく。よく見てみると・・・ゴキブリ。

ゴキブリというと、家屋内の害虫というイメージが強い。しかし、害虫とされる種類はゴキブリの仲間の中のごくごく一部で、野外にはもっとたくさんの種類のゴキブリが生息している。ここでは、家屋内の害虫とされるゴキブリを「家ゴキ」、野外のゴキブリを「野ゴキ」と呼ぶことにしよう。

今回見かけた野ゴキは体長3cmほどあって、日本のゴキブリとしては大型の方。よく見る茶色い家ゴキ(チャバネゴキブリ)よりもやや色が薄い。前胸の背側に白い模様があるところが大型の家ゴキ、ワモンゴキブリに似ているが、その白い模様の形が違う。



なかなか種類がわからずtwitterで画像を流したところ、幸いにも教えていただけた。ありがとうございます。

この野ゴキ、マダラゴキブリというらしい。普段使っている「昆虫の図鑑 採取と標本の作り方(南方新社)(現在は増補改訂版が出ている「増補改訂版 昆虫の図鑑 採集と標本の作り方(南方新社)」)にも載っていたのだが、気付けなかった。図鑑の写真は茶色が濃く、白斑が薄かった。この種類は、色の濃さに変異が多いのだろうか?

マダラゴキブリは湿り気の多い照葉樹林を好むそうだ。が、湿り気といっても、水が淀んだジメジメの環境ではなく、谷川・渓流沿いなどらしい。清冽な野ゴキということだろう。

今回見た場所は市街地に近い低山で、竹林を切り開き、桜を植えた所。敷地の中心が谷状になっていて、細い小川ができている。渓谷というような環境ではないが、マダラゴキブリの好む環境なのだろう。

分布域は、九州南部 ・種子島 ・屋久島 ・トカラ列島・奄美大島・沖縄、最北端は長崎県ということで、温かい南の国が好きな昆虫のようだ。